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​ガジュマルの木に抱かれて

日がな一日、穏やかな波の打ち寄せる八重山の浜、

時間の止まったかのようなその世界に

気根をいくつも伸ばした、おじいのような、おばあのような

ガジュマルが佇んでいる。

昼は、強烈なティダ(太陽)を避ける人々の憩いの木陰となり、

夜は、踊り疲れ、歌い枯らした毛遊びの若者がもたれかかる。

子どもたちは、木登りしたり、夕日を眺めたり。

初めてキジムナーに遭ったのも、この木だったのか。

ゆったりとしたリズムは寄せては返す波のよう。

重税に喘いだ時代も、戦世にも、

八重山の人々は、この木の下で、

しばし、日々の憂さを忘れて、ゆったり過ごしたのだろう。

そんな過去の記憶をも包み込む琉さんの優しい声。

この風景がいつまでも続いてほしい。

琉さんの声には、きっと、そんな願いが込められている。

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