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​琉球愛歌

驚いた。琉さん、こんな唄も歌うのだ。

言葉としては出てこないけど、

沖縄に集中する米軍基地や、

最近八重山の各地に建設された

自衛隊の基地のことも歌っているのだろう。

言うまでもなく、沖縄は太平洋戦争で、

日本唯一の地上戦の行われた場所で、

八重山では地上戦はなかったものの、

戦争マラリアや、日本兵の横暴など、

幾多の戦争被害を被った地域でもある。

そして、今でも、中国に一番近い県として、

国と国の争いで、戦略ポイントとして、

内地に暮らす人には想像できないようなできごとの起こる地域でもあるのだ。

それが、八重山で暮らす琉さんの日常でもあることを、

この唄で、思い出さされた。

けど、琉さんは、武力ではなく、

音楽で、それを乗り越えていくのが沖縄なんだと歌う。

それは、昔から大国に挟まれ、武力では敵うはずもない相手に、

歌舞音曲と巧みな外交で乗り越えてきた沖縄の歴史と重なる。

今も、世界の各地で悲しい戦争が続き、

兵士だけでなく、子どもやおじいさんおばあさんまでもが、

命をなくしている。

音楽で、そのすべてを変えることはできないかもしれない。

だけど、苦しむ人の気持ちを、少しだけでも救うことはできるかもしれない。

琉さんは、音楽にできることの限界を分かりながら、

少しでも誰かの役に立つこと、できることを信じて、

たった一人かもしれない誰かのために、

この唄を力強く歌う。

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