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目出度や嬉しゃ舞遊ば
アルバム最後を飾るのは、喜びに溢れたこの唄。
出産、結婚、家族で喜び合う目出度いことがある度に、
八重山の人々は、一家総出で、歌い踊り、酒を酌み交わしたのだろう。
時には、ずっと育てていた花が初めて咲いたからと、
些細なことをお祝いのネタにすることもあるのかもしれない。
この唄を歌い、演奏し、踊る八重山の人々の笑顔が眼に浮かぶ。
こういう日があるから、人は生きていけるのだろう。
「寿ぐ」という言葉は「言祝ぐ」から来てるらしい。
言葉を口にする行為で、幸せを招き入れようという、
いわゆる言霊思想から生まれた言葉なんだそうだ。
お目出度い言葉を口にすれば、それが現実になる。
だとすれば、この唄こそが「寿ぐ」そのものなのだろう。
いつか、誰もが弥勒世(みるくゆ)に生きることができますように。
百年後かもしれない、一万年後かもしれない、
やはり五億七千六百万年後にしかやってこないのかもしれない。
だけど、一日でも早くその世界が訪れますように、
今、目の前にある幸せを喜びながら、
琉さんは、祈りを込めて、この唄を、優しく力強く歌い続ける。
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